本記事では、一般社団法人データサイエンティスト協会が、2019年に実施したデータサイエンティストに関する調査を基に、データサイエンティストの必要性と今後の需要について考察します。
「データサイエンティストの採用に関するアンケート調査(2019年)」
【調査概要】
調査対象 :日本国内一般企業(人事担当者向け)
※従業員30名以上の企業を対象に、企業規模別にランダム抽出
調査手法 :郵送法
調査期間 :2019年8月21日~10月8日
有効回答数:283社
※本記事内容の調査結果は、データサイエンティスト協会 公式HPより引用しています。
本記事の内容
・【約8割が不要】データサイエンティストはいらない?
・今後は必要性が二極化。データサイエンティストは本当にいらない?
・データサイエンティスト足りない 試算します
・今後のデータサイエンティストの需要
・【結論】データサイエンティストはいらない訳ではない。需要はあります。
本記事の信頼性
・大手SIerのNTTデータで4社のITコンサル・システム開発案件に従事。
・現在は、データサイエンスとして本業でデータ分析案件に従事。
【約8割が不要】データサイエンティストはいらない?
まずは、一般社団法人データサイエンティスト協会の調査結果を基に、現状の企業のデータサイエンティストの在籍状況についてみていきます。
・企業のデータサイエンティストの在籍割合
・今後のデータサイエンティストの増員予定
企業のデータサイエンティストの在籍割合
データサイエンティストの在籍割合は、約30%です。
世間では、バズワードとして「データサイエンティスト」とよく聞くものの、実際に在籍している割合は少ない印象です。
データサイエンティスト協会の調査結果より引用
企業のデータサイエンティストの増員予定
企業のデータサイエンティストの増員予定は、データサイエンティスト在籍者0人の企業の78%は、「今後3年間にデータサイエンティストを増やす予定はない」と回答しています。
そして、データサイエンティストが在籍する企業の77%は、「今後3年間にデータサイエンティストを増員予定」としています。
データサイエンティスト協会の調査結果より引用
データサイエンティストを不要とする理由は次が考えられます。
データサイエンティストの必要性すら認識してない企業が多いと推測されます。
・そもそもデータ分析・活用の必要性を感じてない
・データ分析・活用の業務まで手が回っていない
・ヒト、IT環境整備の費用対効果が見込めない
今後は必要性が二極化。データサイエンティストは本当にいらない?
データサイエンティストを必要としない企業が多いものの、本当にデータサイエンティストは必要でないかを見ていきます。
データサイエンティストの必要性は二極化
上の調査結果だと、「データサイエンティストが在籍する企業が増員予定で、在籍しない企業のほとんどが増員予定なし」となっていました。
企業におけるデータサイエンティストの必要性は二極化する方向になっています。
データサイエンティストは本当にいらない?
こんな中、2020年から世界中に新型コロナウイルスの感染が拡大し、多くの市場・企業に大打撃を与えています。(2020年5月時点)
これにより、今までのビジネス慣習、ビジネスモデル、仕事のやり方がガラッと変わってきます。
なので、ほとんどの企業が、経営戦略・ビジネスを変えないといけない状況になります。
このためには、データを活用した新しいビジネス・取組みが、より一層求められてきます。
参考
経済産業省のDXレポート(2018年9月)では、「あらゆる産業において、競争力の維持・強化や社会全体としてのDXをしないことによる、経済損失を防ぐために、DXをスピーディーに進めることだ大事」と主張されている。
データサイエンティストもしくは、データ分析ツールが行うかは別としても
データからビジネスを変えるというスタイルは必須になってきます。
今後のデータサイエンティストの需要
世の中の動向から、データ分析の業務は今後も需要があると見込まれます。
次は、一般社団法人データサイエンティスト協会の調査結果を基に、実際にどれほどの企業がデータサイエンティストを求めているのかをみていきます。
・データサイエンティストの需要規模
・求められるデータサイエンティストのタイプ
データサイエンティストの需要規模
ここでは、次の調査結果を日本の企業数に当てはめて、データサイエンティストの需要規模を簡易的に試算してみます。
「中規模企業」は、「平成26年経済センサス-基礎調査」(2020年5月時点で最新)によると、従業員20人より多い企業は、56万社あります。
(今回の調査では従業員30人以上の企業が対象となっており、今回はこの数字を基に計算します。)
次の調査結果によると、約30%の企業が、4.5人のデータサイエンティストを増やす意向となっています。
データサイエンティスト協会の調査結果より引用
データサイエンティストの潜在的な需要規模は、次のように試算され、約76万人になります。
・560,000(社) × 30% × 4.5(人/社)= 756,000(人)
あくまで、全企業がこれだけ求人を出すわけではないですが、潜在ニーズとしてはこれだけの規模のデータサイエンティストが求められるということになります。
経済産業省が平成 28 年 6 月に公表した「IT 人材の最新動向と将来推計に関する調査」では、「データサイエンティストの供給量は、2025 年には 7.9 万人、2030 年には 12.0 万人まで増加する」と報告されています。
このように潜在的なニーズと、供給量に大きなギャップがあるので、今後もデータサイエンティストの需要はあると判断できます。
求められるデータサイエンティストのタイプ
次に、求められるデータサイエンティストのタイプを見ていきます。
調査結果では、データサイエンティストは次の3つに分類され、この中で「ビジネス系」が一番多くなっています。
・ビジネス系(下表のタイプ①)
・サイエンス系(下表のタイプ②)
・エンジニア系(下表のタイプ③)
データサイエンティスト協会の調査結果より引用
この結果から、今後、いかにビジネスに分析結果を活用するかという視点が大事になってくると想定されます。
【結論】データサイエンティストはいらない訳ではない。需要はあります。
本記事の内容をまとめると、こんな感じになります。
・約30%の企業がデータサイエンティストが在籍している。
・データサイエンティストが在籍する企業は約8割が増員予定で、在籍しない企業のうち、約8割は増員予定なし。(= 二極化している)
・新型コロナの影響で、多くの企業がビジネス変革が求められる。データのビジネスへの活用は必須。
・データサイエンティストの潜在需要は、約76万人。(簡易的な試算)
・ビジネス系のデータサイエンティストの需要が一番多い。
結論として、「データサイエンティストはいらない」という説もありますが、調査結果から将来的にデータサイエンティストの需要は十分あるということでした。
ぜひぜひ、時代の流れを先取りするためにも今のうちに、データサイエンスを勉強し、データサイエンティストを目指すのもアリですよ。
<参考>
実は、BIG-DATA NaviというAI・データ分析特化の求人サイトでは、データサイエンティスト職種は月100万円超える仕事も多数紹介されてます。(2020年12月時点)
データサイエンティストの求人案件(BIG-DATA Navi)を見る
※【AI・データ分析で1年以上経験ありの方限定】 無料登録すると、非公開の高単価案件も紹介されるかもです
意外に「自分でも頑張ればできそう」っていう案件もあると思うので、ぜひ一度は見てみてください。
【失敗しない】ゼロからデータサイエンティストを目指す方法
ゼロからデータサイエンティストを目指すとき、誰もが迷う「講座を受講する」か、「独学する」か。
結論どちらでもOKです。
ちょっとだけ、それぞれについて説明してみます。
講座を受講する場合
ここでは、詳しく書きませんが、次の3社くらいが無難です。
筆者もAidemy受講歴あり。ブラウザだけで完結して受講できるのが便利でした。ただ、金額は3ヶ月で約50万円と高め。
詳しくは言えませんが、受講前に、必ず無料カウンセリングはした方がよいと断言します。
・【データミックス】データサイエンティスト育成スクール
正直、一番ガッツリ学びたいならココがおすすめ。ただ、半年で約75万円とこれも正直高い。。無料でオンライン説明会やってるので、それを聞くだけでOKかも。
・【Codecamp】Pythonデータサイエンスコース ※今だけ無料レッスン5回分もらえる(先行予約した方限定)
オンラインのマンツーマン指導。2ヶ月15万円と一番お得。「まずちょっと勉強したい」という人におすすめ
金額は決して安くはありません。自己投資ですね。
ただ、一度スキルを身につけてBIG-DATA Naviなどで仕事をもらえれば、すぐに回収できますね。
独学する場合
正直、どうしてもいきなりスクールや講座で数十万円も払うのは・・・という人も多いでしょう。
データサイエンティストをゼロから独学で目指す方法を紹介します。
次の5ステップの順で行うのがおすすめです。
step
1 まずは、もっとデータサイエンティストを知る!!
一番いいのは、現役のPythonエンジニア、データサイエンティストから実際の情報を仕入れること。
方向性ややり方を間違えて、時間と労力を無駄にしないためにも。
(2020/12時点) CodeCampさんから、無料でマンツーマンの体験レッスンをやってるとの情報がありました。
体験レッスン後の受講で10,000円割引もあるそうです。
是非、この機会に体験だけでもやってみて損はないと思います!!
※各回で満員御礼になってるらしいので予約はお早めに
step
2 PythonでExcel作業・データ可視化をやってみる!!
データサイエンティストになるには、Pythonを使うのがいいってよく言われます。
関連記事データサイエンス完全初心者がPython(パイソン)をやるべき3つの理由
ただ、目的なく漠然と取り組んでも、長続きしません。
だから、まずは、身近な目標を作ることが大事。
そこで普段会社や学校でExcel使いますよね。このExcelでのデータ集計やグラフ作成をPythonでやってみるのがおすすめです。
これは、次のツイートでも話題になっていて、ある程度、客観的にも有用性があります。
かめさん(@usdatascientist )のPython講座を参考に、PythonでExcel操作を代替するための方法をまとめてみました。
未経験からデータサイエンティストを目指す人って、最初からAIや機械学習に目が行きがちですが、目先のExcel作業を効率化するのもオススメだと思ってます。https://t.co/gkDFF0RU4U
— inasala| #AI・Python勉強記録 を毎日発信 (@inasala_ai) October 21, 2020
関連記事【保存版】PythonでできるExcel操作のまとめ一覧
関連記事【保存版】Python/Matplotlibで仕事で使えるグラフ作成のまとめ一覧
step
3 統計学、数学、機械学習を学ぶ
ここまでは、実装・プログラミングがメインでしたが、データサイエンティストは統計、数学、機械学習の理論も理解しておく必要があります。
かめさん(@usdatascientist )のブログを見ておくと、無料で実践的な理論や参考文献がわかるので、おすすめです。
step
4 コンペなどで実践する
まずは、メジャーどころのkaggleやsignateいいと思います。
正直ここまでくると、どんなコンペが参加しやすいかもわかってきます。
いままで勉強したことをぜひ実践していきましょう。
step
5 実務で経験を積む
すぐには、データサイエンティストとして転職はせずとも、ぜひ今の会社でデータ分析の仕事を積極的にチャレンジしてみましょう!!
生のデータを触り、ビジネス課題を考えることで、いろんな気づきがあり、さらにスキル・知識が向上できます。
そして、経験を積んでいけば、いつの間にか「データサイエンティスト」として名乗れるでしょう。
以上、データサイエンティストの需要や方向性、そしてデータサイエンティストを目指す方法も含めて説明してきました。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。