本記事では、会社の情報システム部門、IT部門(いわゆる、情シス部)が2020年に取り組むべき業務課題を3つを説明します。
本記事の内容
・情報システム部門(社内SE)が取り組むべき3つの業務課題
・業務課題①:テレワーク環境の整備
・業務課題②:セキュリティ対策の強化
・業務課題③:デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進
・【まとめ】社内SEも楽ではない。でも、やりがいはある。
本記事の信頼性
・大手SIerのNTTDATAで4社のITコンサル・システム開発案件に従事し、外部から社内SEを見てきた
・現在、事業会社の情報システム部で社内SEとして3年間勤務
情報システム部門(社内SE)が取り組むべき3つの業務課題
2020年は、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響で、世界中の企業・人々に大きな影響を与えています。
本記事は、これに伴って企業の情報システム部門、IT部門(社内SE)が、2020年に取り組むべき業務・課題を3つ紹介します。
・テレワーク環境の整備
・セキュリティ対策の強化
・デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進
情報システム部門の業務課題①:テレワーク環境の整備
2020年3月以降、政府から自治体、民間企業、各種団体に、より一層在宅勤務・テレワークを奨励されています。
そんな中でも、2020年4月上旬に厚生労働省とLINE株式会社が実施した全国調査によると、テレワークでの仕事の実施率は「5.6%」に留まっています。
企業がテレワークをすぐに実施できない要因は、大きく3つがあります。
1. 仕事内容からどうしてもテレワークはできない(接客等)
2. テレワークの社内制度が整備されてない
3. テレワークをできる社内システム環境がない
実際は、上記1と2はクリアしているのに、社内システム環境が整ってなく、仕方なく出社している会社員も多いと思われます。
情報システム部門(社内SE)の役割としては、上記3である「テレワーク環境の整備」が早急に求められています。
具体的には、次の点を検討し、整備していく必要があります。
・テレワーク用端末の準備
シンクラ端末、BYOD など
・ネットワーク整備
専用線の構築、VPN など
・社内稟議、文書管理の電子化
ワークフローシステム、オンラインストレージ など
・ウェブ会議の利用
Skype、Zoom、Webex など
・セキュリティ対策
端末紛失、情報漏洩の対策 など
テレワーク、在宅勤務やリモートワークを行うには、これらの点を検討し整備しないと、業務の品質、生産性が落ちたり、セキュリティ事故(情報漏洩等)にもなりかねません。
情報システム部門の業務課題②:セキュリティ対策の強化
近年、デジタル技術の進歩により、サイバー攻撃数が増加し、攻撃手段も巧妙化しています。
セキュリティインシデント(セキュリティ事故。情報漏洩など)が発生すると、事業の経営に大きく影響を与えることもあります。
また、今後テレワークがより一層増えることで、情報漏洩や通信機器を対象にした攻撃も増えることが見込まれます。
さらに、2021年に延期となった東京オリンピック・パラリンピックでもサイバー攻撃で日本企業が狙われることも予想されています。
こうした状況下で、社内SEとしても自社のセキュリティ体制を強化していかなくてはいけません。
セキュリティ対策を整備する上では、組織、人、技術、プロセスの4つの観点で、次のことを考える必要があります。
組織
・セキュリティ組織・体制として、平時、有事にやるべきことが定めてあるか?
・セキュリティに関する社内ルール・規則が定めてあるか?
人
・セキュリティ要員は足りているか?
・セキュリティ業務ができるスキルセットのある人材がいるか?
・セキュリティ教育が計画され、計画に従い教育・人材育成がなされているか?
・グループ会社や社外の組織などと連携できているか?
技術
・社内システムの資産管理、脆弱性管理ができているか?
・セキュリティの防護策(IDS、ふるまい検知、WAFなど)、検知策(IPSなど)ができているか?
・インシデント対応に必要な対策ができているか?
プロセス
・広報、法務などの関係部署への連絡プロセスがあり、実施できているか?
・インシデント種別ごとに対応フローがあり、実施できているか?
・活動状況が経営層に報告されているか?
・従業員への注意喚起、情報持出し、不正利用の監視等の平時対応のプロセスが実施できているか?
企業の規模によって、セキュリティ施策の予算や対応内容は異なりますが、検討観点としては、上の内容は一通り確認しないといけません。
セキュリティ対策自体は、売上向上にも業務効率化に貢献するものではなく、完璧がないため、どこまで実施するかを会社として判断していく必要があります。
情報システム部門の業務課題③:デジタルトランスフォーメーション(DX)
そもそもデジタルトランスフォーメーション(DX)とはなんでしょう。
経済産業省のDXレポート(2018年9月)でも引用されているIDC Japan株式会社によると、次のように定義されています。
企業が外部エコシステム(顧客、市場)の破壊的な変化に対応しつつ、内部エコシステム(組織、文化、従業員)の変革を牽引しながら、第3のプラットフォームを利用して、新しい製品やサービス、新しいビジネスモデルを通して、ネットとリアルの両面での顧客エクスペリエンスの変革を図ることで価値を創出し、競争上の優位性を確立すること
(IDC Japan 株式会社 用語解説一覧 から引用)
また、「第3のプラットフォーム」は、次のように定義しています。
ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術、クラウド、モビリティの技術を用いたITプラットフォーム
(IDC Japan 株式会社 用語解説一覧 から引用)
つまり、「デジタル技術と様々なデータを使ってビジネスと顧客の行動を変革し、新しい価値を生み出すということ」です。
もっとかみ砕くと、「今まで気にしてなかったデータを使って、良いサービス・ものを生み出しましょう」ということですね。
経済産業省のDXレポート(2018年9月)では、「あらゆる産業において、競争力の維持・強化や社会全体としてのDXをしないことによる、経済損失を防ぐために、DXをスピーディーに進めることだ大事」と主張されてました。
今では、新型コロナウィルスの影響がすべての市場を打撃し、多くの企業が、経営戦略・ビジネスを変えないといけない状況になってます。
今後は、デジタルトランスフォーメーション(DX)、つまりデータを活用した新しいビジネス・取組みが、より一層求められてきます。
情報システム部門としては、売上の核となる業務部門と連携して、DXを推進していく立場にならなくてはいけません。
情報システム部門(社内SE)がDX推進でやるべきことは、次の通りです。
・業務部門と協働したDX推進体制の整備
部門横断組織(CFT)やワーキングの立ち上げ
・テーマ(対象業務)を決め、DX推進活動を進める
課題抽出⇒データ収集⇒分析⇒事業への活用
・DX推進のためのシステム整備
データの収集・蓄積、可視化、分析・解析の基盤を作る
・DX人材の育成(ビジネスディベロッパー、データサイエンティスト等)
ビジネス創造力、データ分析力、エンジニア力などを養う
DXでは、新しいものを創造するということが重要なため、これまでの常識、過去の実績に捉われず、ゼロベースで物事を考えることが何よりも重要となります。
【まとめ】社内SEも楽ではない。でも、やりがいはある。
ここで、「テレワーク環境の整備」、「セキュリティ対策の強化」、「デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進」を説明してきましたが、どれも一筋縄ではいかない難易度が高い業務課題です。
以前までは、社内SEに転職すると、仕事が落ち着く、残業が減る、楽になるとよく言われてました。
最近の世の中の変化から、情報システム部門でもやるべきことの難易度は上がってきています。
その分、仕事のやりがいができたり、新しいチャレンジができる環境になったりと、プラスの方向に考えていきましょう。
【補足】社内SEになりたい方、転職を希望している方向け
ここまでは、情報システム部門として、社内SEが直近で何をやるべきかを書いていきました。
当然これらをやるには、それぞれに適したスキルセットがある人材が必要になります。
どの会社であっても、この3つの経験、スキルがある人材は、喉から手が出るほど欲しいです。
少なくとも上記3つに関しての業務経験を履歴書、エントリーシートに書いてアピールすると、企業としては重宝されます。
以上となります。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。