と言われたことはありませんか?
これは、あなたが専門的な仕事ができ、信頼できるという意味では良いですが、裏を返すと、あなたがいないと仕事が回らないということになります。
そして、結果的に、あなたを残業地獄に陥れることになりかねません。
本記事では、社内SEが陥りやすい業務の属人化とこれを防ぐための方法を紹介します。
本記事の内容
・そもそも業務の属人化とは?属人化のメリットとデメリット
・社内SEが業務の属人化が生じる理由とは?
・社内SEが業務の属人化を防ぐ方法
・【まとめ】社内SEが業務の属人化を防ぐために大事なこと
本記事の信頼性
・大手SIerのNTTDATAで4社のITコンサル・システム開発案件に従事し、外部から社内SEを見てきた
・現在、事業会社の情報システム部で社内SEとして3年間勤務
そもそも業務の属人化とは?属人化のメリットとデメリット
業務の属人化とは、特定の業務についてその担当者しか理解・対応できず、業務が人と一体になっていることを言います。
まず、一般的に業務の属人化のメリットとデメリットを見ていきます。
業務を属人化することのメリットは、次のとおりです。
・担当者が、業務に精通しているので対応スピードが早い
・担当者の知見・経験を活かし、難易度が高い業務でも解決できる
・特定の業務を1人に任せるため、業務の重複がなく人員が最小限に抑えられる
目先の業務だけをみるのであれば、業務の属人化については、仕事の生産性・効率性が上がりそうです。
一方、こんなデメリットがあります。
・属人化している人に業務が多く振られ、その人の労務量・残業が増える
・業務が属人化されている人が長期休暇や退職すると、業務が停止する
・業務がブラックボックス化し、だれも引き継げなくなる
・属人化されている業務の第三者のチェックができない
・業務が属人化されている人に対して、公平・公正な人事評価ができない
業務を属人化することは、自分自身の首を絞める事にもなるほかに、会社としても長期的な視点や、万が一の視点、業務の品質、評価を考慮すると、業務の属人化は解決すべき課題なのです。
社内SEが業務の属人化が生じる理由とは
社内SEは、会社の中でも最も業務の属人化が生じやすい部門の1つです。
この理由には大きく次の3つがあります。
・目の前の自身の業務を行うことで精一杯になる
・人事異動・ジョブローテーションが少ない
・周りに業務を引き継げる人がいない
それでは、1つずつみていきます。
目の前の自身の業務を行うことで精一杯になる
社内SEは、業務を属人化している人にほど、システムの不具合対応、調査対応、サーバの実機確認、臨時処理などと色んな業務が入ってきます。
そして、それらは緊急で飛び入りのものが多く、どうしても目先の業務をこなすだけで精一杯になります。
この場合、当然、それらの業務をこなすノウハウを共有する暇もなく、ましてや教育資料を準備する余裕がないのが実情です。
こうした仕事が日々続いて、結果として、業務の属人化されてしまうのです。
人事異動・ジョブローテーションが少ない
社内SEが所属する情報システム部門は、人事、総務、経理等と同様に会社の間接系部門という位置づけになります。
社内SEは、システムを扱うため、他の間接系業務と比べて、専門的な知識や経験がどうしても必要となります。
このため、他部門と比べて人事異動の間隔も長く、ましてや一度情報システム部門になるとほとんど異動がないという会社も多いです。
そして、情報システム部門内でもインフラ、アプリ、セキュリティなど必要となる知識・経験が異なるため、部内でもジョブローテーションが少ないのが現実です。
このように、社内SEには、業務を行うには専門的な知識・経験が求められ、それを教育・育成するのに時間がかかるため、結果的に一度担当した仕事内容がほとんど変わらなくなるのです。
周りに業務を引き継げる人がいない
昨今は、多くの会社が人手不足という課題を抱えています。
このため、属人化しつつある業務を他の人に引き継ごうとしても、人員自体の捻出することが困難ということが多いです。
人員がいたとしても、引き継げるだけの基礎知識がないということもあります。
そして、計画的に人材の確保と業務を引き継げるだけの教育を行っている会社もほとんどないのが実情です。
社内SEが業務の属人化を防ぐ方法
ここでは、社内SEが業務の属人化を防ぐためのには2つ紹介します。
・業務に支障が出ない範囲で、知識共有の場(打合せ)を設ける
・業務の副担当を設定して、実務の業務に少しずつ携われるようにする
ぜひ自分の首を絞めないためにも参考にしてみましょう。
業務に支障が出ない範囲で、知識共有の場(打合せ)を設ける
これは、できるだけ目先の仕事に負担をかけずに、業務内容を他メンバーに説明する機会を設け、それをきっかけに業務知識を共有するというものです。
この方法自体はよくあるものですが、次の目的と留意点を意識すると、より効果的に業務の属人化を防げます。
【目的】
・ベテラン社員・担当者の特定業務の知識共有をする。
・社員の不得意/不足部分の穴埋めをする。
・知識共有内容を文書化し、継承する。
【留意点】
・月1回などと定期的に実施する
・受講者も積極的に質問できる場とし、双方向のやりとりを促す
・資料は、新規作成はせず(負担軽減のため)、既存資料を利用する
・できるだけ打合せの場で扱った資料は、形として残せるようにしておく
属人化を防ぐだけではなく、自分の担当外の知識を得ることで、目先の業務にもプラスとなることもあるので、ぜひコツコツとこういった活動を継続することをお勧めします。
業務の副担当を設定して、実務の業務に少しずつ携われるようにする
これは、OJT(On-the-Job-Training。職場内訓練)として徐々に業務を学んでいくという方法です。
どうしても業務の生産性が落ちたり、時間を要することがありますが、最小限で負担がない程度で、少しずつ学んでいくことが大事となります。
具体的には、次のことを段階的に行うのが効果的です。
・業務のメールのCCに入れる
・定期的に、口頭ベースで今やっていることを共有する
・難易度が低い業務から任せていく
これは、お互いの業務量や勤怠状況を考慮して、上の人(上司等)から取り決めを行い、進めることが重要となります。
【まとめ】社内SEが業務の属人化を防ぐために大事なこと
ここまでは、社内SEの業務の属人化と、これを防ぐ方法を紹介してきました。
現実では、従業員が急遽会社に来れなくなる等の状況がない限り、業務を属人化していることが問題視されることはありません。
むしろ、目先の業務だけを見るのであらば、属人化していた方が生産性が上がりやすいです。
ただ、長期的にみると、必ずどこかのタイミングで脱属人化を考えないといけません。
脱属人化を主導するのは、役職などの上の人の判断が必要となります。
役職の人が、いかに自分の後任までを考え、長期的な目線で脱属人化のために指揮・行動できるかが重要となります。
中には、自分が役職になっている期間だけ上手くいっていればよいと考える人もいるので、要注意です。
ぜひ、役職を巻き込んで、業務の脱属人化を推進していきましょう。
そして、少しでも自分の業務負担を軽減させ、残業地獄を事前に防いでいきましょう。
以上となります。最後まで読んで頂きありがとうございました。