本記事では、実際に社内SEが行っている筆者が、社内SE(情報システム部門)がやっている業務内容を紹介します。
本記事の内容
・社内SE(システムエンジニア)とは?
・社内SE(情報システム部門)の仕事内容
・【まとめ】社内SE(情報システム部門)の仕事内容
本記事の信頼性
・大手SIerのNTTDATAで4社のITコンサル・システム開発案件に従事し、外部から社内SEを見てきた
・現在、事業会社の情報システム部で社内SEとして3年間勤務
社内SE(システムエンジニア)とは?
IT業界での就職,転職を考えられている人は,「社内SE(システムエンジニア、エスイー)」という言葉をよく耳にすると思います。
「社内SE」とは、文字通り社内で働くSE(システムエンジニア)です。
「社内の従業員として、自社で管理しているシステムやインフラの構築・管理業務、社内ユーザーからの問合せ対応を行うシステムエンジニア」のことを言います。
社内SEは主に「情報システム部門」という部署に配属されることとなります。
仕事内容は、大きく次の4つに分類されます。
どの会社もこれをすべて行うのではなく、会社によってどの部分をに持つかが異なり、仕事内容も変わってきます。
ちなみに僕の今の会社では、「情報システム部」という部署に社内SEが集まり、①と②の上流工程、③、④の業務を行っています。
社内SE(情報システム部門)の仕事内容
では早速、次の4つについて具体的に仕事内容を見ていきます。
・企画・マネジメント
・システムの開発・運用保守
・インフラの構築・運用保守
・IT全般の総務
【社内SE仕事内容①】企画・マネジメント
・中長期システム計画の策定
・最新技術(AI、IoT、RPA、ドローン等)の調査・情報収集
・システム開発・保守の予算管理
・従業員IT教育,IT人材育成
・情報システム系の社内規則ルール策定
中長期システム計画の策定
今後の3~5年先までのシステム計画を策定します。
システム計画には大きく3つの観点で作成します。
1 社内の経営戦略又は業務部門からのニーズに基づくもの
役員からのトップダウン、業務部門からのシステムニーズを踏まえて計画を策定
2 社外要因で改修リプレイスが必要なもの
法対応(法改正、年末調整)、システム・ソフトウェアのサポート期限等
3 最新技術を取り入れ、システムの高度化を目指すもの
AI、IoT、RPA、5G、ドローン等の導入についても計画に盛り込みます。
最新技術(AI、IoT、RPA、ドローン等)の調査・情報収集
社内SEであっても今後の自社での展開のため、最新の技術は日々追っていく必要があります。
外部ベンダー主催のセミナーや研修に参加することで情報収集しキャッチアップをしていきます。
システム開発・保守の予算管理
社内システムの予算作成と管理を行います。一般的には年間予算を作成し、四半期ごとに実績と比較することが多いです。
予算作成するためにも、導入/改修予定のシステムについて業務部門からヒアリングし、メーカーに見積もり依頼をする必要があります。
会社によっては、情報システム部門ではなく、各業務部門でシステム予算を持っている会社もあります。
従業員IT教育,IT人材育成
従業員に対して、セキュリティ、ITコンプライアンス等のITに関連する教育を行ないます。
情報システム部門には、他部門からいきなり異動で来る人もいます。こういった方にIT全般の教育も行っていきます。
情報システム系の社内規則ルール策定
全従業員が,社内のシステムを利用する上で守るべき規則・ルールを制定します。
「社内のシステム・機器は業務外で利用しない」、「パソコンは持出禁止」、「パスワードは他の人に教えない」といった内容を定めます。
【社内SE仕事内容②】システムの開発・運用保守
・システムの開発
-従業員、業務部門からの要望のヒアリング
-要件定義、システムの選定
-システムの受け入れテスト
・システムの運用保守
-追加改修の要望整理
-機器リブレイス,ソフト更新
-機障害対応
システムの開発
従業員、業務部門からの要望のヒアリング
従業員の日々社内システムを使っている上での要望や、業務部門から業務が変わることによるシステム対応等の改善要求を受け付けます。
要望を基に実現方法の検討や費用対効果の試算を行い、システム導入の準備に進めます。
要件定義、システムの選定
要望をさらに明確化、定量的に決めます。機能要件(業務要件を直接的に満たすもの)と非機能要件(可用性、性能要件などインフラ関連の要件)の双方を考えます。
要件定義をして、新規開発するか、パッケージを使うか、外部サービスを使うか、どのメーカーの製品を使うかを検討します。
自社開発の場合は、ウォーターフォール等のように一般的なの開発工程を踏んでシステム開発を行います。
メーカー発注の場合は基本的に、メーカーにお任せになりますが、適宜、仕様確認、進捗確認を行います。
システムの受け入れテスト
システムが自社環境で正常に稼働するかの最終チェックを行います。
要件に沿って、テスト項目を作成し、テストを行います。場合によっては、情報システム部門ではなく業務部門で実施することもあります。
プログラミングって必要?
システムの運用保守
既存のシステムについて、主に次の対応を行います。
追加改修の要望整理
社内システムは法改正、従業員や業務部門から追加要望。バグ修正など、追加改修が結構多いです。
こういった改修内容を優先度合い、予算を考慮して、どの案件を実施するかをユーザー、関係者と調整し、改修を進めていくこととなります。
機器リブレイス,ソフト更新
サーバ機器、ソフトウェアのサポート期限終了に伴い、必要に応じてリプレイス又はソフトウェアの更新を行います。
これは、システム都合によるものとなり、ユーザビリティが落ちる際は、従業員と関連部門に説明し納得してもらうという仕事もあります。
障害対応
システムに異常停止、エラー等が生じるとまず社内SEに連絡が来ます。そこから、自社又は外部ベンダーに依頼をして早急な原因究明を行います。
復旧後は社内関係者への障害説明を行い、その後も業務の見直し、再発防止策の策定等でやることは多いです。
メンドーな社内外の調整の対処法
【社内SE仕事内容③】インフラの構築・運用保守
・サーバの構築、運用・管理
・ネットワーク整備
・機器(パソコン,モバイル端末,プリンタ等)管理
・共通システム(メール,スケジュール等)の運用・管理
・セキュリティ対策
サーバの構築、運用・管理
新規開発システムのサーバ構築、既存システムのサーバ運用管理を行い、社内のサーバ環境を整備します。
主に次の3つのどれかの通りサーバ環境を整備することとなります。
1 個別システムのサーバを構築
2 仮想サーバでまとめて構築
3 外部のPaaSやIaaSを利用
最近はインフラ業務のアウトソースで、「外部のPaaSやIaaSを利用」が増えてきています。
ネットワーク整備
社内ネットワークの設計/構成管理(論理構成)と機器(ハブ、スイッチ、ルーター等)管理を行います。
近年はマルチメディアが多くなり、通信するトラフィックも多くなっています。これに伴い、帯域増強や5G対応がネックとなってきています。
ネットワークは、セキュリティやネットワーク機器自体が社内にあるため、なかなか外部ベンダーに委託しづらい業務となっております。
社内SEの中でもネットワークの専門知識が必要となります。
機器(パソコン,モバイル端末,プリンタ等)管理
従業員が日々使うパソコン、モバイル端末、プリンタ等、機器全般の新規購入、メンテナンスを行います。
会社によっては、「機器はすべて情報システム部門で購入し管理する」という会社や「業務部門で機器の購入・管理も許容」している会社もあります。
共通システム(メール,スケジュール等)の運用・管理
全社員が共通的に使うメール、スケジュール等の共通システムを運用します。最近では、共通基盤系のシステムは、Office365やG suite等のクラウドサービスを使い、「自社でシステムを持たずサービスを利用する」流れになっています。
セキュリティ対策
社内のサーバ、ネットワーク、端末のセキュリティ全般の管理を行います。近年は、サーバーセキュリティ対策として重要性が高くなっています。
次のようにやるべきことはたくさんあります。
・最新のセキュリティ動向、脅威/対策等の調査・情報収集
・侵入検知システム(IPS、IDS、SEIM等)、ウィルス検知ツールの運用・管理
・社内システムの脆弱性診断、リスクアセスメント
・セキュリティ訓練の実施
・インシデント対応の整備・運用(CSIRT、SOC)
【社内SE仕事内容④】IT全般の総務
問い合わせ対応
従業員や業務部門からの各種システムの質問対応を行います。
「パソコンが動かない」「○○システムの操作が分からない」「誤操作をしてしまった」等、質問内容は多岐にわたります。
問い合わせ対応ついては、外部にサービスデスクを設置して委託する企業も多いです。
【まとめ】社内SE(情報システム部門)の仕事内容
まとめると、社内SEの仕事内容は次のようになります。
このように社内SEの仕事内容は幅広く、テクニカルな知識も必要なものもあります。そして、社内の従業員、関連部署や社外ベンダーとの意思伝達、調整も多いです。
大企業であれば、業務は分業化されそれぞれに担当が分かれます。
中業企業の場合は、これらの業務を少人数又はひとりで行うこともあります。
いづれにしても
会社の規模
社内システムがどれだけあるか。
どこまで外部企業に任せているか。
によって、社内SEの一人一人のやるべきことが大きく変わってきます。
今後、社内SEの就職・転職を希望されている方は、本記事で説明した社内SEの仕事内容が全体像となるので、これを基に各企業ではどれをやっているか、自分はどこを目指すかいう視点で見ると良いかと思います。
以上となります。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
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